払子
「夜咄」は今では冬の茶事となっていますが
無庵では一年通して、
もちろん夏の夜も楽しんで頂いています。
夜咄といっても「夕ざり」の茶事に近く
来庵される頃はまだ明るく
蜩の声を聴きながら懐石が始まり、灯火の明かりにも徐々に慣れ
とっぷり暮れて茶室へ...
浴衣で来て下さる方もいて、夏には夏にしか味わえない風情があり
利休さんの頃のように季節を問わず
「夜咄茶事」をされてもいいのかなと思ったりします。
払子
払子(ほっす)とは、
もともとはインドで殺生を禁じた僧侶が
説法や座禅の際に蚊やハエなどを払うのに用い、
のちに法具となり高僧が威儀を正すのに用いるようになったものです。
夜咄の茶事では花を飾ることはしません。
灯火だけの暗い茶室では
花は美しいどころかどこか薄汚く、影も怪しく映ります。
代わりにこの払子や如意(にょい)、竹箆(しっぺい)など
仏具を床に飾るのが約束となっています。
知らないと怪しいデカい筆にしか見えませんが...