不携帯
「かまど場」
ここが一番人気の撮影ポイント!
ベストショットは釜から勢いよく湯気が立っている時です。
御客様の大半がこの写真を撮られます。
やはり実際に使っている「かまど」が珍しいからだと思いますが
他にも「囲炉裏」や「書院障子」「古時計」「時代電笠」など
いろいろと撮影されていきます。
勿論、どこを撮影されても
SNSに載せて頂いても構いません!
しかし、唯一ご遠慮して頂いているのが
「御食事中」の撮影です。
撮影というよりも
「カメラ」「携帯」の持ち込みを控えて頂いております。
御飯が炊けるまでは「待合(囲炉裏の間)」にて過ごして頂き、
御食事は「客間」に移動してもらいますが、
その際にお荷物は行李に置いていき
ハンカチや手拭い、ティッシュ、懐紙、程度のものだけにして頂きます。
これは決して料理の写真を撮られたくない訳ではなく、
『料理を美味しく食べて頂きたい』
という願いからそうさせて頂いております。
御膳が運ばれ、飯椀と汁椀のふたを同時に取ると
ふわっと湯気が立ち上る...
その湯気も「茶懐石」の御馳走です。
それは今、「炊き立て」「出来立て」をお出ししました!
ということです。
この一番最初の御膳出しに全身全霊をかけて用意しております。
しかし、ここで写真を撮られると
せっかくの出来立てが出来立てじゃなくなり台無しです。
ややもすると写真の構図を決めるのに手間取ったり、立ち上がったり、
果てには過去の写真を見ながら話しが長くなって
すっかり湯気も消えたころに「いただきます」なんてことに...
勿論、その後の「煮物椀」「焼物」「炊合せ」「和え物」も
最高の状態でお出しします。ですから、
出来るだけ「美味しく」食べて頂きたいと思うばかりです。
お店で料理の写真を撮り、SNSに上げるのが当たり前の時代。
どうぞ料理は御自分の眼と心にしっかり焼き付けて、
「携帯電話」が手元にないと不安かとは思いますが、
たまには「厄介な文明」に煩わされず
静かな山里で「鳥の声」と「川のせせらぎ」だけを聴きながら
心和やかに食事してみませんか?